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三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜
日時: 2013/04/01 12:36
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:p.LS4FVw

こんにちは、寒ブリという者でございます。
小説掲示板にて、小説を書かせて頂きます。ちなみに台本形式ではございません。
ただし、タイトルからもお判り頂けるようにバトル物であるため、
ポケモンの紹介の時のみ、小説以外の形式での記載をします。あらかじめご了承下さい。
他、作品の都合上ポケモンも喋ります。ポケモンが喋るのがダメ、という方は閲覧をお控え下さい。

では次に私の自己紹介を。
昨年末辺りからこの掲示板で談義に参加させて頂いております、寒ブリでございます。
大のクレセリア好きということで、本作のメインポケモンをクレセリアにしました。
私のことを知りませんという方は、初めまして、以後お見知り置きを。
既に私と他のスレでも話したことあるよ、という方は、本スレでもよろしくお願いします。

この小説は、主にレーティングでの戦闘を描写したもので、主人公はポケモントレーナーになっています。
以下、登場する人物、ポケモンを紹介いたします。

〜主人公〜 
名前:リック 男
イッシュ出身のポケモントレーナーで、イッシュリーグを制覇した後、
プロ達が集うより本格的なバトルの場(レーティング)でポケモン達と共に戦っている。
情熱的で猪突猛進な面があるが、その分根性は誰にも負けない。
彼の仲間達は、リックの純粋で真っ直ぐな心、誰かを大切にする心に厚い信頼を置いている。

〜主なポケモン〜

クレセリア ♀
イッシュリーグ制覇後、リックが出会ったポケモン。
リックがストレンジャーハウスで女の子の幽霊から預かった三日月の羽を届けられ、
ストレンジャーハウスであった出来事を聞かされる。以降は、
悪夢からみんなを守れる力をつけるため、そして、ストレンジャーハウスの事を教えてくれたリックへの礼として、
リックのレーティングへの戦いに加わった。
感情的なリックを冷静な判断でサポートする知性派だが、度々涙を見せたり、「守りたい」「助けたい」などの発言をするなど、
小さな子供のように純粋で心優しく、時には感情を躊躇わずに外に出すこともある。
しかし、それは仲間と深い絆でつながっている証拠である。

ダイケンキ ♂
リックが博士に貰ったポケモン。
リックの情が移ったのか、感情が露に出やすい。
しかし、根性が人一倍あり、最後まで諦めない素晴らしい戦いを見せる。
リックとの息はぴったり。
昔から自分が一番強いポケモンになりたいと強く願っていて、少し面倒くさい性格が出ることもあるが、
リックの仲間になり、仲間の大切さ、力を合わせることのを教えられてからは、
「自分」がではなく「自分たちのパーティー」が頂点に立つことを目標に、頑張って修行に励んできた。
そして、そのとんでもなく負けず嫌いな性格が、時に戦いで奇跡を生むこともある。

ナットレイ ♂
電気石の洞穴で出会ったテッシードが進化した。
自身が元々持つ高い耐久と、リックに教えられた最後まで諦めない心が合わさって、
最後までしぶとく、堅実に戦う。割と理性的だが熱い心は他とも変わらず。
元々、自分たちの住み家を自分たちの都合で乱暴に通行していた人間達を嫌悪していたが、
今の彼の主人であるリックと出会い、
少しピリピリした関係ながら、真実を知りたいと願って仲間になることを決めた。
そこで旅をする内に、世界の広さを知り、自分の固定観念を払拭し、頑固さが嫌に出る面が無くなった。
今では過去の面影もないくらい、リックに信頼を置いている。

バルジーナ ♀
23番道路で出会ったバルチャイが進化。
バトルではバルジーナならではのテクニカルな技で、冒険では秘伝技「空を飛ぶ」で、リックをサポートしてきた。
レーティングでは空を飛ぶは使わない模様。
別のトレーナーに理不尽な虐待を受けて大怪我を負っていたところをリック達に救護され、
何とか一命を取り留めた。皆を命の恩人と思っており、是非力になりたいと申し出て仲間になった。
未だに古傷は残っているが、支障が出るわけでもなく、リック達との絆の証だと考えてているようだ。
やや陽気な口調が特徴的であるが、それは皆に気を許しているからであり、
信頼できることを何よりの幸せだと感じている。

ズルズキン ♂
リゾートデザートで出会ったズルッグから進化。
厳しい環境である砂漠で鍛え上げられたポケモンだけに、その底力は計り知れない。
少しお茶目な面もある。
野生のズルッグ、ズルズキンは覚えられない技を覚えていることから捨て子だと解り、
リゾートデザートの他のズルッグの集団から仲間はずれにされていた。
もちろん卵の中にいて何も分からない本人には自覚はなかったようで、
理由の分からない苦痛に耐えてきた。
しかし、ある時であったリックはその特別な生い立ちには何も言うことはなく、彼の全てを認めた。
ズルッグは彼の心の広さを慕い、共に旅をすることを決めた。

シャンデラ ♀
タワーオブヘブンで出会ったヒトモシが進化した。
出身地が出身地なだけに、恐がりで引っ込み思案なところもあるが、
そんな性格とは裏腹に高い攻撃力を持ち、リックの人柄には信頼を寄せている。
出生地の通り、常に死が近くにあった毎日を彼女は送ってした。しかし、身近な誰かの死を経験したことが無く、
塔に来る人の気持ちを理解し、慰めたり、見守ってあげたりすることが出来ず、当時ヒトモシだったシャンデラもまた苦しんでいた。
しかし、冒険の途中で塔に立ち寄ったというトレーナーのリックが心に秘めていた、
誰かを真っ直ぐに大切に思う心を学びたいと思い、
彼に付いていくことにした。

本編途中で新たに仲間になったポケモン
本編2 新たな仲間を求めて >>53  ヒードラン、フーディン、トゲピー


ストーリーの進行と同時にどんどん追加してきたいと思っています。
なお、↑でのポケモン紹介はスペースの関係上、
本編の最初からいる6匹以外は、レスアンカーを利用して通常のレスでの紹介という形式を取りたいと思います。


このスレを見て下さった皆様からも「このキャラ(オリジナルのキャラでもOK)、ポケモンを出して欲しい」というようなことがございましたら是非採り上げていきたいと思います。
ただし、ストーリーの都合上直ぐには出せず、
ご要望が多かった場合には対戦相手側のポケモンとして登場させることもあります。ご了承下さい。
よろしくお願いします。

リクエストがあったポケモン・人物/リクエストして下さった方
トゲキッス/ずっと俺のターン!!様
セルゲイ&ラティアス、サメハダー、ブルンゲル、ロトム炎、ドリュウズ、コジョンド/少佐様

↑人間でもポケモンでも、どちらでもOKです!

リクエストして下さった方、誠にありがとうございます。
読んで下さっている方と一緒に小説を書いているような感じを得られ、私も嬉しい限りです(^^) 

ストーリー
序章 火山の家 幽霊と光る羽 >>1-7
本編1 レーティング初戦 >>10-34
本編2 新たな仲間を求めて >>35-52
本編3 金髪の女性 >>54-68
本編4 それぞれの時間、それぞれの思い >>71-101
本編5 反転の部屋 >>103-122
本編6 薄暗い雲の下 >>123-142
本編7 扉を開いて >>169-175 >>188-193(間に雑談が多数入ったため区切りました)

番外編シリーズ 
1 筆者とクレセリア >>69
2 参照600感謝です! >>102
3 スレ主がダブルバトルの面白さを読者の皆様に是非知って貰いたい件について
  &祝参照1000突破!皆様ありがとうございます!
  >>143-163→具体例を用いた解説  >>164-167→まとめ  >>168→主のパーティ紹介 
メンテ
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Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.199 )
日時: 2013/06/02 20:44
名前: 俺のターンスマホ◆PVwQPeOao9c ID:FI3N1zUU

トゲピー進化キター!!
原子の力を使うのは全くの予想外です。
今後に期待してます!
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.200 )
日時: 2013/06/07 16:49
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:cbP4LOXE

>>199
コメありがとうございます。トゲチックの今後に乞うご期待あれ!
ちなみに原始の力はたまたま覚えたので登場させただけで対戦では使いません(笑)
天の恵みでの原始の力や銀色の風とかロマン溢れますけどね。

>>198
電磁波凍える風ローキックと素早さ変化の術(縛りの解除技)を色々持ち合わせているのに守る持ちが少ないのは扱いにくい面もあるのでは?
トリパ対策もドサイドン程度ですし若干不安。
ドクロッグとミロカロスのコンビは凄く良いと思いますし、2匹とも器用なポケモンなので色々な戦術をもっと研究してみて下さい。
あとは重いロトム。水が最もメジャーですが、ドサイドン+ドクロッグを並べてドサイの避雷針で圧力を掛けつつ乾燥肌のドクロで処理など。
クレセリアはガモスがいれば圧を掛けられますが、横にバンギが出る可能性があるときはドクロかミロ必須です。
比較的コンボ重視のパーティなので、麻痺睡眠混乱などで妨害を受けないよう神秘の守りを入れるなどしておくと良いと思います。
誰かに威張る入れてドクロとドサイをいば神秘でサポートしても良いですし。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.201 )
日時: 2013/06/07 16:57
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:cbP4LOXE

リックはポケモン図鑑をズルズキンから受け取り、すやすやと寝ているトゲチックを起こさないよう静かにかざす。
電子音に合わせてトゲチックの情報が表示される。

「張り切り…だってさ。」

「物理攻撃が強くなる代わりに、少し外れやすくなる特性だね。恩返しとかが強くなるのと、燕返しなんかは張り切りでも当たる物理攻撃だよ。」

バルジーナが該当する技を次々挙げていく。その言葉の端々から、彼女の本来持つ積極性が感じられる。
かつての虐待を受けていた頃の、彼女の暗く虚ろな面影はもう残っていなかった。
臆病だったシャンデラも、先程のように周りに対してしっかりとしたコミュニケーションを取れるようになっているし、
ズルズキンも集団の中で自分を主張し、いきいきと時間を過ごせるようになってきている。

リックはセルゲイとの戦いを目の前にして、変わってきている仲間達を頼もしく感じていた。


朝食を食べ、いよいよセルゲイ戦に向けての修行を始めることにした。
リックは近くにあった大きめの岩に鞄を立てかけて降ろすと、
手を叩いて仲間達を集合させた。

「さてみんな、早速俺から一つ提案があるんだけども、いいかな?」

「いいよ!」

「構わないぞ」

リックの問いかけにポケモン達が肯定の返事を返す。

「よし。今、戦闘に参加できるレベルになっているポケモンは、トゲチック以外の8匹だ。
 ここで問題。8÷2をしてみろ。」

リックがあからさまな何かの提起であろう問題をくりだす。
ポケモン達はそれに対し、皆こんな問題なんぞ余裕とばかりに、異口同音に「4」と返す。

「そうだ。で、4って何の数か分かるか?」

ポケモン達が思いつく限りの「4」と関係しているものを考え出す。


しばらく時間が空いた後に、ダイケンキがふと、こんな事を言い出した。

「そういえば、ダブルバトルで出すポケモンの数も4だよな。」

すると、先程までずっと答えが出ず曇った表情をしていたリックが急にピンと反応をした。
ダイケンキもそれに気が付き、「まさかあれをやるのか?」と更に続ける。

「そうだ。俺が提案するのは………メンバー同士での戦いだ!」
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーテ ( No.202 )
日時: 2013/06/08 23:13
名前: 少佐◆PmkXtdTtWWM ID:vqeeHpjo

鑑定ありがとうございます。いや〜流石です。
避雷針・ドサイドンとドグロッグなら確かにwロトムを完封できますね。(さっそく孵化余りをcheck!)

私も実際に使ってみて、ああ、ボルトロスとラティオス?、ヤバいな・・・なんて思ったことが何度か。(ボルトロスの色違い率ww)
一撃を凌ぎ、次の手に有効打を!みたいな試合が多かった気がします。
まもるが使いこなせる方は本当に凄いです、尊敬してしまいますよ!!
ユキノオーをバンギラスに変えました。ドグロッグにタスキを持たせてバンギラスにシュカのみを持たせて稼働中で今のところ、安定して動いてくれています。


リックのパーティ戦楽しみです!(シャンデラの後ろにナットレイは鬼ですよ、寒ブリさん…)

Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.203 )
日時: 2013/06/09 08:47
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:cbP4LOXE

>>202
いえいえ、こちらこそ、ダブルバトルに興味を持って頂けて嬉しいです。
頑張って下さい!
シャンデラの後ろにナットレイ…やろうと思ってました(鬼畜)
でもズルズキンを相手に回すとそうはいかないんですよ。シャンデラナットは両方弱点喰らいますし。
今どう分ければ一番良いバトルになるか調整中ですので更新はまた数日後ですねw
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.204 )
日時: 2013/06/13 06:43
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:cbP4LOXE

「で、リック。メンバーはどうやって分けるんだ?」

ナットレイがリックに尋ねる。

「ナットレイは何が良いと思う?」

リックが意見を求める。
決定の方法も意見をとった方が、公平性が高いというものだ。

「リックが決めたらどうだ?ジャンケンなんかして、弱点丸被りなんていうふうになったら困る。
 でも戦闘メンバーが決めるのはいかんせん不公平が出る。だから俺はリックにお願いしたい。」

ナットレイが持ち前の冷静な判断で意見を述べる。他の皆も彼の意見には納得のようだ。

「よし、じゃあみんな、少し待っていてくれ。パーティ分けが終わったら発表するよ。」

リックはそう言って鞄からノートとシャープペンシルを取り出し、メンバーの弱点などを書き出し始めた。
その間、ポケモン達は発表の時を待ちながら、
これから始まる戦闘に向け少し休息や準備運動の時間を取った。


「よしみんな、パーティ分けが終わったよ!」

しばらく時間を置いた後、リックがみんなを呼び集めた。いよいよ発表の時である。

「チーム内対戦として、AチームとBチームに分かれて戦って貰う。今からそのチーム分けを発表だ。

 …Aチーム、シャンデラ、ナットレイ、フーディン、バルジーナ。Bチーム、ダイケンキ、ズルズキン、クレセリア、ヒードラン。
 この後チームで集合して、4匹で作戦会議をしてから戦いに移ること。
 俺はみんなが戦っている間に色々と研究させて貰うことにするよ。」

「リックが研究という言葉を発したのは初めてだな。」

ダイケンキが不思議そうに、しかし可笑しそうにリックに返す。

ひとまず彼らは発表されたチームに分かれて、戦闘の展開や作戦の会議を行うことにした。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.205 )
日時: 2013/06/16 23:03
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:cbP4LOXE

しばらくの時間が空いた後、ポケモン達は戦いへと移った。
Aチームの初手はナットレイとバルジーナ、Bチームの初手はクレセリアとズルズキン。
両者とも気合は十分で、
三日後に控えたセルゲイとの戦いの役に立つ、良いバトルが期待できそうである。

ポケモン達は各自で何かしらの合図を取りながら、自分たちの行動を決めている。
その傍ら、岩に腰かけてノートとペンを手にリックはポケモン達の動きを観察していた。
最初の行動は両者ともある程度練っていたのか、割と短時間で両者の行動方針が決まる。

最初は誰も交代をしない。全員が場に居座っての行動。
まず、何かを読んだらしいバルジーナが守りの態勢に入る。
それに続いてズルズキンが、
彼の初ターンの決まり手、あるいは代名詞とも言える行動封じ技「猫騙し」を繰り出す。
猫騙しはバルジーナへ繰り出されたが、惜しくも防がれてしまう。
これはバルジーナの狙い通りといったところか。

続いてはナットレイ。
相手が交代する度に交代で出てきたポケモンにダメージを与えられる技「ステルスロック」を相手陣に設置する。
パーティを二つに分けたが故にポケモン同士の有利不利がはっきりしていて、
必然的に交代が多くなりやすいことを上手く読んでいる。

そして最後にクレセリア。
ナットレイより先に動けるはずの彼女が最後に動いたということは、
これからやることはもう一つである。
頭の水晶から青い立方体の光が展開され、スピードを逆転する大技「トリックルーム」が場に現れた。

「次はどうする、ここで交代か?」

「トリックルームを同じ技で返して解除しようか」

口々にポケモン達の小声の話し合いが聞こえる。
リックもペンを流れるように素早く動かし、次のターンの行動が始まらないうちに視線をフィールドへ戻した。
その横にいたトゲチックは、メンバーの戦いの様子を見ながらも、何やらしきりにリックのカバンを気にかけている。

「どうしたトゲチック、カバンに何かあるのか?」

視界にトゲチックの落ち着きのない様子を捉えたリックが尋ねる。

「あのね...。」
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.206 )
日時: 2013/06/20 17:03
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:cbP4LOXE

トゲチックがそう言って指差したのはリックの鞄であった。先程から気にかけていたものだ。
リックがトゲチックが気になっているものが何か一緒に探そうとすると、
すぐさま内戦の2ターン目が始まってしまった。

「トゲチック、後でいいか?」

「うん。先に一人で探してていい?」

「構わないけど、中の物を勝手に使ったり壊したりするなよ。」

そう言ってリックは再びノートとペンを手に取り、ポケモン達が戦っている方を向いた。
2ターン目、ズルズキンに不利なナットレイが守りの態勢を取る。
交代せず守るを選んだということはトリックルームの時間稼ぎか。

そして続いてはズルズキン。ナットレイへドレインパンチをするが防がれてしまう。
ズルズキンの後退直後に、クレセリアの冷凍ビームがバルジーナに直撃。
弱点を突いてなかなかのダメージが入る。
ズルズキンが最も苦手なバルジーナを真っ先に倒すのが狙いか。
そしてそのバルジーナはやはりズルズキンに狙いを定めた、真空の刃・エアスラッシュを放つ。
こちらも弱点を突いてなかなかの威力。

2ターン目が終了し、再び次の手の選考の時間に入る。
ここまでポケモンの交代は無し、
フィールドにはトリックルームと、Bチームのフィールドにステルスロックがある。

リックはふと、クレセリアやダイケンキがいるBチームへと目をやる。
いつも仲間のために懸命なクレセリア、絶対に負けないという強い思いを持つダイケンキが中心になって、
ごく慎重に次の手を考えている。
二人ともメンバーの中では特に責任感が強く、度々チーム、チームと考えるフシがある。

リックは戦いの様子を見ながら、
クレセリアとダイケンキは、二匹とも精神的に少し疲れているのではと考えていた。
クレセリアは先日戦いで負傷したこともあり、ダイケンキは何か重い観念に捕われ気味なこともある。
リックがそんなことを心の片隅で心配していると、各々の手が決まり次のターンの行動が始まろうとしていた。

トリックルーム発動ターンの4ターンのうちの2ターン目。
トリックルームを発動された側であるAチームは戦況を覆す方法を、発動した側であるBチームは優勢を保ち続ける方法を、
それぞれ考えるべき状況である。

まずはナットレイがシャンデラへと交代された。
ナットレイが弱点を突かれるズルズキンのドレインパンチは、シャンデラなら無効化することが出来るという、
大変補完に優れた交代である。

そしてズルズキンは守りの態勢に。バルジーナのエアスラッシュを防ぐのが目的か。
続いて再びクレセリアの冷凍ビームがバルジーナに放たれる。先程と同じくなかなかのダメージが入る。
ここでバルジーナは体力のある程度の消耗を確認し、持っていたオボンの実で回復した。
そして、クレセリアに「威張る」という技を繰り出す。この前新しく覚えさせてもらった技である。
厄介な補助技を多く持つクレセリアを力ませ混乱させ、動きを不自由にすることができた。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.207 )
日時: 2013/06/25 13:03
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:cbP4LOXE

ここで身動きを制限されたクレセリアはヒードランへと交代。こちらも同じく、補完に優れた交代である。
まずはシャンデラが守りの態勢に。彼女もズルズキンには手痛い一撃をもらいかねない。
それを読んでいたかのようにズルズキンはバルジーナへとドレインパンチで攻撃。
攻撃を当てるとともに拳の先からズルズキンへの体へと活発な光が注ぎ込まれ、体力を回復する。
またその回復により、続くバルジーナのエアスラッシュをもう一撃耐えることが出来た。

次のターン。
まず最初に動いたズルズキンはもう一度バルジーナへとドレインパンチ。
シャンデラとナットレイは交代の相性が良く、縦に並べてしまうとキリがない。
チームの方針により、最終的にナットレイとシャンデラを残して横に並ばせる状況を作ることにしたようだ。

続いてヒードラン。高い特攻を生かし、シャンデラへと大地の力を放つ。
シャンデラとナットレイに対しては割と通りの良い技だ。上手く標的のシャンデラにヒットさせることができ、
効果抜群で威力はかなりのもの。今出ているズルズキンとヒードランはシャンデラとナットレイの両方に強めなため、
倒せずとも流してしまうことが出来る。

そして続くバルジーナ。
ズルズキンに「蜻蛉返り」で攻撃。相手を攻撃した後に交代する便利な技だ。
上方から軽めに攻撃を入れたのち、反動で空高く飛び上がって交代。
交代で出てきたのはフーディン。トリックルームにおいて彼のような高速のポケモンはかえって鈍足になるはずなのだが...

トリックルームの効果を知る者であれば誰もが抱くはずのこの疑問に関してシャンデラは全く問題なさそうに自分の行動の準備をする。
そしてフーディンが登場し構えを取ったところでシャンデラの行動へ。

「じゃあフーディン。次のターンから早速よろしく...。」

やや苦しい声だが自信ありげにフーディンに告げる。
彼女のセリフはトリックルームで歪んだ空間に不可思議に響き渡る。が、彼女が技を繰り出すとともに徐々にその響きは消えていき、
語尾の方では正常に真っ直ぐに、彼女の落ち着きのある声がフィールドに響き渡った。

「...トリックルーム、解除。」


これがAチームの作戦であった。
交代を上手く使いチャンスを作ってからのトリックルームの解除。
フーディンはエスパータイプで、タイプだけ見ればBチームのフィールドメンバーには軒並み不利なのだが、
新しく覚えさせてもらった補完攻撃技、いわゆる「サブウェポン」を生かしていくようだ。

早速、次のターンでフーディンからそれが放たれる。
引くに引けない相手に容赦なく、エネルギーの砲弾「気合玉」がヒット。
効果は抜群。消耗していたズルズキンを一撃で戦闘不能にさせてしまった。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.208 )
日時: 2013/07/18 20:38
名前: 俺のターンスマホ◆PVwQPeOao9c ID:gF42HcMQ

支援上げです。
続きに期待してます。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.209 )
日時: 2013/07/18 21:08
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:aJ4SwmpQ

チームの方で色々とありまして更新かなり空いてしまいました。
更新待ってた方すいませんでしたm(_ _)m
では続きいきませう

>>208
支援ありがとうございます!
お待たせしてしまって申し訳ないです



倒れたズルズキンと交代に、トリックルーム使いのクレセリアが再び登場。
この状況を再びひっくり返すには、トリックルームを再度貼ってしまうのが最善手である。
再びフィールドへと戻ってきたクレセリアは神妙な眼差しでフィールドを見つめる。

「...だからこそ」

一瞬うつむいて何かを呟く。

「...?クレセリア、どうかしたか?」

「あっ...ごめんなさい、なんでもないです。戦闘に集中します」

疑問を浮かべて訪ねたヒードランに、クレセリアが若干焦るような様子を見せながら気張った返事をする。

「ふむ...まあ良い。」

なんでもないと誤魔化したクレセリアにヒードランは少し疑問を抱きつつも、
気を取り直して再びフィールドの方を向いた。

「みんな!」

ポケモン達が次のターンの行動に入ろうとしたとき、突如皆を呼び止めたのはリックだった。

「一旦中止してこっちに来てくれ!急いで!」

立ち上がって前傾姿勢でポケモン達に叫ぶリックの後ろでは何かが光っている。
ポケモン達はその方向へと急いだ。

「大丈夫ですか?私に捕まってください。」

クレセリアが戦闘で体力を消耗していたズルズキンに声をかける。

「ありがとうクレセリア、助かるよ」

ズルズキンは険しい表情を浮かべていたが、優しく手を差し伸べたクレセリアに笑みを返す。
何とか立ち上がって、2匹もリックのもとへと向かった。


リックのもとに駆け付けた一同が異口同音に声を上げる。

「「トゲチックが光ってる!」」
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.210 )
日時: 2013/07/21 10:39
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:aJ4SwmpQ

「リック!これはもしかして...」

「ああダイケンキ、そのもしかしてだ。...トゲチックが進化するよ!」

青白い美しい光に包まれ、トゲチックの姿は変化していく。その手は何か小さな石のようなものを持っている。
背中に生えていた小さな羽は手と融合して徐々に大きくなっていく。

「光の石...」

リックがポケモン図鑑を見ながらつぶやいた。

「光の石?」

「ああ。トゲチックは光の石という道具を使っての特別な進化をするらしい。そしてその進化後が...。」

そのなめらかな美しい翼を持つ体から光が弾け、進化した姿がリックたちの前に現れる。

「トゲキッス...ノーマル・飛行タイプ、トゲピーの最終進化系だ!」


先程まで小柄な体で戦闘参加メンバーのポケモン達の一歩後ろを歩くようなトゲチックだったが、
今の彼女はもう一人前といっても過言ではないだろう。

「ずっと気になっていたの。まさしくこれだったわ。」

トゲキッスはその光の石をリックに見せる。光の石は秘めていたエネルギーの全てを放出して星屑のごとく砕け散り、地に還った。

トゲキッスは進化で手に入れた大きな翼を羽ばたかせて、近くに立っていた大きな木の回りを飛び回ろうとする。
しかし宙に浮いた数秒後、態勢を崩して真っ逆さまに急降下してしまう。
ギリギリのところで持ち直し何とか怪我は免れたが、その後は上昇せず、しょんぼりとしたまま地面に降りてきてしまった。

「うーんどうしたんだろうな。進化したのは良いものの。」

リックが疑問を浮かべる。

「リックさん、もう一度、進化前も含めて図鑑を見てもいいですか?」

クレセリアが何か心当たりがあるようにリックに尋ねる。

リックは鞄から図鑑を取り出し、クレセリアに手渡した。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.211 )
日時: 2013/07/23 10:41
名前: 俺のターンスマホ◆PVwQPeOao9c ID:81YoYg6Y

ついにトゲキッスが進化しましたか!
もう感無量ですw
しかし飛べないというのは…何なんですかね?
続きに期待してます。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.212 )
日時: 2013/07/23 15:28
名前: ですね!◆HZiQoouqMWg ID:yXMCp.NU

こんにちは。小説板で書いているですね!です。トゲキッスが飛んでいるところを想像すると…面白いですね
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.213 )
日時: 2013/07/23 18:57
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:aJ4SwmpQ

>>211
コメありがとうございますー
トゲキッスの飛べない原因は今からリックたちが解明していきますのでお楽しみにb

あ、翼の折れたエンジェル(中村あゆみ)とかっていうオチでは決してないですよw()

>>212
初めましてー。こちらこそどうぞよろしくです。
トゲキッスは飛んでいるというよりかは浮かんでいるイメージですかね。
ですね!さんの小説も拝見しました。登場する人物やポケモン同士の会話が多くて楽しい雰囲気の小説ですね!(←ちゃっかりパクる)
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.214 )
日時: 2013/07/25 19:59
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:aJ4SwmpQ

「どうだクレセリア、何かわかりそうか?」

図鑑を開いてトゲピーの進化系列を調べていたクレセリアに、リックが尋ねる。

「うーん、確定できる原因は見当たりませんね....」

小さな手で一生懸命図鑑のボタンを押しつつ、クレセリアは首を傾げてリックに答えた。

「ですが、思い当たることはないわけでもありません。」

「なんだって?」

一同は彼女の話に耳を傾けた。



「トゲキッスは今日だけでトゲピーから進化をしました。
 姿を見ればわかるとは思いますが、初期段階から最終進化系に進化するにあたって、
 大きく体型の変化が生じています。」

「...確かにそうだ。始めはなかった羽があったり、手足が若干退化したりしている。」

ナットレイが下から図鑑を覗き込んで確認した。
クレセリアが写真の載っている図鑑のページをリックたちに見せる。

「なのでつまりは...急激な体型の変化に順応できていないのでは?」

クレセリアはリックにそう言うと、飛べずにすっかり落ち込んでしまっているトゲキッスのほうに視線を向ける。

「うーんその可能性は高いかもね...少し飛ぶ練習をしてみようか、トゲキッス。」

トゲキッスは落ち込んで声を発さず、僅かに頷いてリックの方を振り返った。

「リック。もしコロシアムに空いているフィールドがあったら、戦う人が来るまで少し貸してもらえるよう、受付の人に頼んでみないか。
 外は飛行の練習をするにはまだ危険が伴う。コロシアムの芝生のフィールドは地面もやわらかいし多少は安全なはずだ。」

ナットレイがリックに提案をする。先程の、危うく地面に落下しそうになったトゲキッスの身を案じてのことだろう。

「そうだな、少し頼んでみるか。」



「空いているフィールドを練習に使うのかい?」

「はい。お願いします。」

リックは受付の人に尋ねた。
受付の優しそうな男性は彼らの要望に応えようと、そばにあった数枚の書類を調べて状況を見た。

「うん。午前中は全面が使用される事は少ないし、一番奥のフィールドなら大丈夫だよ。
 もしフィールド全使用の状態になってしまったら、次にまた空きが出来るまでは待っていてもらうことになるけどいいかな?」

「はい。ありがとうございます!」
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.215 )
日時: 2013/07/25 20:50
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:aJ4SwmpQ

「いいかい、飛ぶときは体の重心をしっかり意識するんだよ。体のバランスを崩すのが一番よくないことだ。」

同じく鳥ポケモンであるバルジーナの教えのもと、トゲキッスの飛行訓練が始まった。

トゲチックは相変わらず、ふらふらとした慣れない動きで不安定に飛ぶ。

「うーんそうだねぇ、じゃああたしが飛んでみせるから、それを見ておくといいよ。
 もし少しでもなにか掴めたら、頑張ってあたしの後ろをついてきてみな。一緒にがんばろ!」


リックはトゲキッスの見本になるよう飛び、懸命に飛び方を教えているバルジーナの過去をふと思い出していた。

「(まったく重ならないな、昔のアイツと...)」

自分がが前のトレーナーに、過度の負荷、理不尽な酷い仕打ちをされていた分、
誰かの面倒を見てやるときは丁寧に優しく、無理をさせないで指導をする彼女。


トゲキッスは自分の視界で飛び回るバルジーナを必死に観察して何かを掴もうとするが、
いざ飛んでみようと思うと、やはりどうしても踏ん切りがつかないようだ。
先程の、思うように体を動かせなくて味わった恐怖は未だ鮮明に彼女の感覚に憑りついているみたいだ。

「うーん、やっぱ頭でわかっててもさっきのがトラウマでなかなか先に進めないみたいだね。」

一度味わった恐怖はそう簡単に忘れられない、それはトゲキッスだけでなく、
彼女を教えているバルジーナもよくわかっていることだ。


「....落ちるなら力を抜いて落ちて下さいね...」

落ち込んだ、そしてどこか寂しそうなトゲキッスの後ろで誰かが呟いた。

「...もしダメでも皆が受け止めます。だから無理しないで、楽に飛んでみてください。」

そう言ったのはクレセリアだった。飛ぶのを恐がり震えるトゲキッスを優しく抱き、
他の皆に視線を送る。
彼女の提案で既に話し合って決行していたらしく、
最初に歩き出したダイケンキ、ナットレイと一人ずつトゲキッスに応援の声をかけ、フィールドを囲む。

バルジーナは声にこそ出さなかったものの、皆の思いに感激し、トゲキッスに再び教え始める。
バルジーナは周りを確認して飛び立ち、トゲキッスに手本を見せようとする。
周りの皆と視線を合わせるとトゲキッスに目で合図を送る。



幾分の時間の葛藤の後、トゲキッスは少し震えたその翼を開き、バルジーナの後について飛び立つ。
まだぎこちない様子ではあるが、そのトゲキッスの羽ばたきが起こす風から彼女の勇気が感じられる。



「私たちは上に上がるのを助けることは出来ません....でも、下に下がるのを止めることなら....。」

クレセリアの呟きは、彼女の正面を飛んで行った二匹の羽音にかき消された。
少しずつ離れていく音からはただ、翼の震えが無くなったのが少し感じられた。

「ああそうだな...あいつはもう下に行く道は進まなくていい...あいつには上に行く道がずっと近くにあるんだ...。」

彼女の隣で同じく二匹を見つめていたダイケンキは、クレセリアにそう言葉を返す。
彼の眼には、凛々しい顔で必死に飛ぶトゲキッスの、そのぶれない翼が映っていた。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.216 )
日時: 2013/07/30 20:49
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:PH2GcH32

コロシアムの隅のフィールドでは、ただひたすらに同じ練習を繰り返す時間が続いていた。
30分ほどして、さすがに飛び続けていた二匹も疲労を感じてきたころに一度休憩を取ることにした。

「二人ともお疲れ様。少し休憩にしようか。」

「うんそうするよ、疲れたまま飛び続けるのは流石に危険だからね。」

リックの声掛けにバルジーナが応える。何やら少し嬉しそうな声色である。

「お疲れ様ー!」

「トゲキッスも上手になったね!」

仲間たちも口々に声をかける。力を振り絞って飛び続けたトゲキッスを温かく迎える。


疲れている二匹にリックは木の実を与え、スタンドでゆっくりと休ませる。
バルジーナはトゲキッスを労わって自分の分の木の実を少しわけてやる。


「トゲキッス、すっかり飛ぶのに慣れてきたみたいだな。」

リックが隣にいたクレセリアに話しかける。

「そうですね。数時間前の彼女とは全然違います。上達していますね。」

「ああ。トゲキッスは頑張っていた。そして....教える方も。」

一呼吸空けて、リックが視線を上に傾けながら呟いた。

「....。」

クレセリアは何も言わなかった。


「思うように出来ないほどつらいものはないさ。」


リックのひと声がフィールドに響く。

ポケモン達は何も言葉を発さず、誰も目を合わせずいたが、何故か少しの一体感もそこには生まれていた。

少しだけ今の世界から離れていたその空気を引き戻すように、どこからかリックを呼ぶ声がした。

「リックくん、フィールドを利用する人が来たんだ。そろそろ大丈夫かな?」

受付の人が呼んでいた。約束の通りフィールドを利用客に譲ることにした。
リックたちがフィールドから退くと同時に、受付の人がコロシアムの扉を開いて人を通す。

「お、リックじゃないか。」

「ご無沙汰しています。」

入ってきたのはなんとセルゲイとフウであった。
そういえば彼らも一度手合せしたいなどと話していた。そして丁度今からその二人は勝負を始めるようだ。

「悪いね、何やら練習していたようだけど。」

フウが少し申し訳なさそうにリックに言う。

「いえいえ、構いません。ところで...」

「お、どうしたリック。」

リックが言いかけたところにセルゲイが返す。

「...二人の試合、見させてもらってもいいですか?」

「勿論だ。良いよなフウ?」

「私は構いませんよ。」

二人は快く許可をしてくれた。リック達は観覧席へと向かう。

「これからポケモンを選出するから試合まで少し待っていてくれ。時間はそんなにかからないさ。」
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.217 )
日時: 2013/07/31 16:25
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:PH2GcH32

数分間の選出待機時間の後、ついにフウとセルゲイの勝負が始まった。

二人の初手はそれぞれ、フウがギャラドスとカポエラー、セルゲイがコジョンドとヒートロトムだ。
カポエラーとギャラドスは両者とも特性「威嚇」を持ち、戦闘開始時から相手の攻撃力を大幅に奪っていく。
特殊攻撃を主体とするヒートロトムはあまり影響を受けていないが、
物理攻撃主体のコジョンドにはかなりの痛手となる。

限界未知数の実力者であるセルゲイに、初手の選出の段階から果敢に仕掛けていくフウ。
ポケモン達の行動開始前の静かな空気の中にも、互いの熱い心理戦が繰り広げられているのがわかる。

リックはトレーナーの指示が出揃うまでの間、左右を振り向いて、横に並んで座っているポケモン達の様子を確認していた。
コロシアムの方を再び振り返るともう既に指示は出揃い、1ターン目が始まっていた。

まずフウはギャラドスを退かせ、代わりにシャンデラを繰り出す。
ギャラドスへ有効となるヒートロトムの10万ボルトなどの電気技はシャンデラにも軽減無く効いてしまうが、
相性の不利を第一に考え潔く交代したようだ。

セルゲイ側は交代はなく、ターンで最初に動いたのはセルゲイのコジョンド。
ギャラドスと交代したシャンデラに「フェイント」を繰り出す。
ここでフウがギャラドスを守るではなく交代して退かせた理由が判明した。
フウはコジョンドの猫騙しの裏にあるフェイントを見事に読んでいた。

続いてヒートロトムは電気タイプの交代技「ボルトチェンジ」をシャンデラへ。
フウのシャンデラは耐久も高めに育てられているのかこの攻撃を余裕を持って耐え、
対するヒートロトムはセルゲイのもとへと戻り、交代で繰り出すポケモンを考えている。

「...不意打ちは無い............格闘技か岩雪崩....よし!」

セルゲイはボールを2つ握ったまま少し呟き、思い切ってボールを投げる。
青色のダイブボールから登場したのはブルンゲル。
シャンデラにはシャドーボールで弱点を突かれてしまうが、それでもカポエラーとシャンデラにはかなり有利なポケモンだ。

早速ブルンゲルはその優秀な防御能力の片鱗を露わにする。
ヒートロトムに続くカポエラーのインファイトを全く受け付けず、ブルンゲルがダメージを受けていない状況でターンが終了、
ここから数ターン、多彩な技による援護攻撃を許してしまう結果に。

次のターンは交代無し、フウはカポエラーのワイドガードから場を展開し反撃にかかる。
コジョンドの岩雪崩を見事に防御、安全にシャンデラへのターンが回ってくる。狙いは勿論ブルンゲルだ。
タイプ一致技、かつブルンゲルの弱点となるシャドーボールで強力な一撃。

だがブルンゲルの防御はインファイトの無効化には留まらない。
いくらフウのシャンデラが耐久を大目に育てられている分攻撃力面の育成量が少なめとはいえ、
ダメージこそ大きいがシャンデラのシャドーボールをも耐え、オボンの実で体力を回復しもう一度耐える程度まで持ち直す。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.218 )
日時: 2013/08/06 22:06
名前: ゆっくり◆fb/o1Ux7HtY ID:dmtZZG/E

初めまして、ゆっくりといいます。
小説見ていてストーリー+バトルはとても分かりやすいです。
バトルの参考にさせていただきますww

続き期待してま〜す
それでは。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.219 )
日時: 2013/08/06 22:35
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:PH2GcH32

>>218
コメントありがとうございます!
ゆっくりさんの小説も拝見しました。とても面白かったです

最近更新ペースはドサイドン並みですのでご了承ください()
小説コンテストに応募したのも相まって週0〜2くらいですw(ステマ)

ではー
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.220 )
日時: 2015/01/08 23:41:13
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:e5wJjvDg

ターンはセルゲイのブルンゲルの行動を残すのみとなったが、ここで彼のブルンゲルが放ったのはまさかのトリックルームだった。
セルゲイのパーティにはコジョンドやドリュウズ、ラティアスなど素早いポケモンが多いが、
もはや彼は「トリックルームは全員素早さの遅いポケモンで組むパーティで使う」という概念すらを凌駕しようとしている。

時空の歪んだフィールド、否、今は概念や定石などどいったものすら歪んでいるフィールドで、意表を突いた者と突かれた者の、焦りや、理性が渦巻いている。
大波の如く押し寄せる焦燥と恐怖。そしてその大波の中に燃え上がる精神の業火。
戦っているトレーナー同士の、自身の世界同士が衝突する瞬間は、時に狂おしいほどに戦いを見守る者に熱情を与える。

両者睨みあう中、緊張のトリックルーム1ターン目が幕を開いた。
セルゲイは打つ手のないコジョンドを下げ、あろうことか繰り出したのは素早いラティアスだ。
その横でブルンゲルは自己再生で傷を癒す。カポエラーのストーンエッジ、シャンデラのシャドーボールが引き続きブルンゲルに炸裂する。フウはブルンゲルを、少なくとも自己再生を連発させてトリックルームを凌ぐか、或いは撃破するという選択に出たようだ。
フウのシャンデラも耐久力を良く育てられているだけに、ブルンゲルとシャドーボールで撃ち合えば火力の差でブルンゲルに勝ち目は無い。ブルンゲルが倒れないためには、ほぼ毎ターン自己再生で回復し続けることが必須になってしまう。トリックルームを凌ぐためのフウの作戦だ。

トリックルーム2ターン目、フウはセルゲイのラティアス交代を見て、カポエラーを引きバンギラスを繰り出す。これで、ポケモンの相性ならばフウにかなりのアドバンテージが出来た。
そうなると、ブルンゲルの特性が貯水なので、ラティアスが波乗りで攻撃をしてくるかもしれない。ブルンゲルの粘りに激しく喰らいつくシャンデラのシャドーボールが無事に決まったのを見届けながら、フウは次の行動を考えていた。


しかしシャドーボールを撃ち終わったシャンデラに異変が訪れる。
突然黒い鎖のような幻影がシャンデラを包み込む。



誰もが先入観を持っていた。
貯水の特性を持つブルンゲルに対して滝登りを吸収されるギャラドスは出さず、反対にラティアスの波乗りも警戒する。誰もが心の中にそんな戦術を描いていた。
フウのパーティを勝ちへと導く剣が一瞬にして錆の塊と化した。
誰もが自らの先入観を恥じた。あの男の前で、定石という言葉は存在しないと。

追撃とばかりにラティアスがバンギラスに甘えるを繰り出す。交代読みを決め、シャンデラを止めると同時にバンギラスへの瞬時な対応も見せる。
ラティアスの可愛らしい瞳に動揺を隠せないバンギラスの後ろでは、セルゲイの鋭い瞳にフウが動揺を隠せない。

ブルンゲルを敢えて残したのは、自己再生で粘らせてシャンデラを止める可能性があったからだった。

ポケモンを輝かせられないのがトレーナー最大の恥。例えたったの一戦であっても、他に最適解があろうとも。概念や定石を無に還し己を貫く、それがセルゲイの理念だ。

フウはシャンデラを戻し、カポエラーを繰り出す。ブルンゲルが攻めに転じるのを警戒してバンギラスもこのターンを守るでやり過ごした。
その隙にブルンゲルは体力を満タン近くまで回復し、ラティアスはカポエラーに10万ボルトで攻撃。

トリックルーム最終ターンとなったが、ラティアスへのマークを外さないバンギラスは守るも使わず場に残り、カポエラーがシャンデラへと交代した。
ラティアスとヒートロトムのためにバンギにやられて欲しくないという戦況を逆手に取ってバンギを囮にして守るでやり過ごし、シャンデラを安全に繰り出すフウの作戦だ。

「いけっ!!シャンデラ!!」

普段の上品な立ち振る舞いからは想像もつかない、フウの荒げる声がリックの心を打つ。
しかし、それに応えるようにしてセルゲイの短い一言が、残酷にもその希望を断つ。



「ブルンゲル....やれ。」

「...!!」

HPを最大近くまで回復したブルンゲルが放った攻撃は、水タイプの最高峰の全体攻撃「潮吹き」。
フウの声にならない叫び。

降り注ぐ激流にシャンデラは一撃で戦闘不能、バンギラスは攻撃こそ凌いだものの体力の半分以上を削られた。痛手を負いながらラティアスに噛み砕く攻撃をするが、切り崩すことは叶わなかった。

「ラティアス!思いっきし暴れてやれ」

大きく態勢を崩した敵サイドを前にラティアスはトリックルーム下最後の行動を取る。

暴れてやれ...その言葉に違わず、ラティアスの高い特殊攻撃力と耐久力を更に強化する「瞑想」。
時空の歪みが解けていく中でそっと眼を開いたラティアスは、勝利を見据えていた。



倒れたシャンデラと交代で登場したのはカポエラー。猫騙しとフェイントで、ラティアスを止められる可能性のある最後の頼みの綱だ。
だがセルゲイは勝負強い。カポエラーの手はフェイントだったが、ラティアスは守らず、バンギラスにドラゴンジュエルを使っての竜の波動を炸裂させる。
ジュエルの力で強化された竜の波動の威力は、ドラゴンタイプ最高峰の流星群にも匹敵する。バンギラスを撃破し、続くブルンゲルの潮吹きもカポエラーを着実に削っていく。
フウのフィールドにカポエラーとギャラドスが出たところで、フウは棄権を選択した。



「完敗だ。私を大きく変えた一戦になったよ」

「俺も危なかった、正攻法じゃあんたにゃ勝てる気がしなかった。賭けに出るしかなかったぜ。久々の心奮わす試合だった、またいつか戦おう」

激戦を終えた二人は固い握手を交わした。



「リック、ここに残ってまだ特訓を続けるんなら、ラティアスで良いか?」

「えっ」

名状しがたい感動に包まれながら立ち尽くしていたリックは急に名を呼ばれて驚いた。

「ほら、トゲキッス、空飛びたいんだろ?。ラティアスも手助けしたいって言うからさ」

「本当に良いんですか?」

「ラティアスはやる気満々だとさ。俺も構わないよ」

リックは喜色満面の笑みを浮かべながら深くお辞儀をし、先程二人が戦っていたフィールドで練習を始めた。

必死に羽ばたくトゲキッスの受ける風には、まだ熱情の名残があった。



「リック」

セルゲイは思い出したように出口で立ち止まり、リックを呼ぶ。

「3か月後だ」



意味深長な短い言葉をリックに告げた。意図が読めず困惑するリックを尻目に、彼は足早に去っていった。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.221 )
日時: 2015/01/09 21:36:04
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:e5wJjvDg

日が暮れるまで時間を忘れて特訓に打ち込んだリックとトゲキッスたちは、午後7時を指す時計を見て練習を切り上げた。

「ありがとうラティアス、お陰でトゲキッスもだいぶ飛べるようになったよ。」

「次にお会いするときには、今よりももっと強くなったあの子と、是非戦ってみたいです。では私はこれで。」

セルゲイ譲りの彼女の闘志。出口まで一緒に行ったところで、丁度セルゲイからの伝言を預かったジョーイさんと出くわす。

「ラティアスさん、夕飯なのでそろそろ戻るようにと、セルゲイ様から。」

「はい、直ぐ戻ります。ではリックさん、またいつか。」

ラティアスは嬉々として主人の元へと向かった。リックたちは一挙に彼女へ感謝を伝え、自分たちも休息を取るためにコロシアムを後にした。


ふと、リックは忘れそうになっていた疑問を思い出した。
セルゲイの残した「3ヶ月後」という言葉。
リックは恐る恐るジョーイさんに「今後大会が開かれる予定はありませんか?」と尋ねた。

「今から3ヶ月後くらいに、毎年冬に開かれる大きな大会がありますよ。イッシュだけでなく色々な地方から強豪達が集って競い合うんです。
 そういえばリックさんは今年からレーティングに参加された方なので、ご存知無いのも無理はありませんね。
 一年の中で一番規模の大きい大会なので、ぜひ参加してみては?」

セルゲイが言っていたのはこの事なんだろうか。
リックは何となく、自分が試されている気がしてならなかった。
それはトレーナーとしての自分でもあり、一人の人間としての自分でもあった。

トレーナーとして、いかにポケモンの力を引き出すことが出来るか。
自分らしい戦いをすることが出来るか。
仲間を大切にすることが出来るか。


もし、数多の戦いを乗り越え、様々な経験を経たトレーナーならば、
自分の戦う相手が何をセオリーに戦っているのか、ポケモンとどういう関係を築いているのか、そういうことを読み取ることが出来るのだろうか。
もし仮にそうなのだとしたら、それが出来るようになりたい。自分が今まで理解の及ばなかった世界を、知りたい。
トレーナーとしての成長の道程もトレーナーの数だけあるのなら、自分の道はこれしかない。
リックの意思はこの瞬間、揺るがないものとなった。


翌朝、リックは自分の仲間たちに、大会出場の決意を表明した。
これから大会までの3か月間、自分たちに出来ることは何か。
各々が様々な考えを巡らせながら時間を送る中、一人、他とは全く違う兆しを見せる者がいた。

「リック。先程からトゲキッスを見ないのじゃが」

心の半分が空に溶けていたリックにヒードランが話しかける。

「昨日あれだけ特訓したんだし休んでるんじゃ...うーんでもこの辺で休めるような場所と言えば今俺がいるところくらいだし...無茶してないか少し心配だ」

リックが身を案ずる。そう思った矢先だった。
リックが辺りを見回した隙にヒードランの背中に高速で何かが飛んできた。

「だーれだ?」

茶目っ気たっぷりの、それでいて聞き覚えもある声が聞こえる。

「噂をすればじゃな!」

「飛ぶのも降りるのも随分上手くなったじゃないか、トゲキッス」

トゲキッスの飛んできた方向にフーディンが追いかけて走るのが見えた。

「どっちが速いか勝負してたんだけど全然敵わないや、すごいよ!」

トゲキッスの見違えるような飛行を見て、散開していたポケモン達が集まってくる。
久しぶりに、青空の下の団欒を楽しむ時間だ。



「相変わらずね、リックくん。みんな。」

「シロナさん!」

白のワンピースを着て3段重ねのアイスクリームを誇らしげに左手に持ち、微笑みかけるその女性は、紛れも無く、
トゲキッスとリックの運命を紡いだ本人である、シンオウチャンピオン、シロナだ。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.222 )
日時: 2015/01/09 21:36:41
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:e5wJjvDg

「シロナさん、ご無沙汰しています」

嬉々としてダイケンキが挨拶する。
後ろには彼女のガブリアスもいる。
シロナはガブリアスの肩を叩きながら、微笑みを返した。

「リックくん。トゲピーを大切に育ててくださって、感謝します」

シロナはトレーナーとして敬意を払うといったように、深く礼をする。
顔を上げて金のしなやかな髪をかきあげると、
先程からシロナを不思議そうに見つめているトゲキッスを見て考え込む素振りを見せる。

「ところで、この子の特性は?」

「えっと、はりきりです」

「なら、ひとつ紹介したいものがあるわ」

彼女は鞄から何かを取り出そうとする。
アイスが邪魔になったのでガブリアスに預け、自分の鞄からモンスターボールを取り出し、空中に放る。

「トゲキッス!」

シロナの力強い呼び声に反応してボールから勢いよくポケモンが飛び出す。
白い翼が空中を華麗に舞う。ゆっくりと降下し、シロナの後方にふわりと浮かぶ。

「トゲキッス、向こうの池の方まで行って。」

シロナは20〜30mほど先の池の方まで行くようにトゲキッスに指示する。
シロナは鞄からリンゴをひとつ取り出す。

シロナは少し小さく見えるトゲキッスと目を合わせる。
ここから何か指示を出すのだろうか、息を大きく吸い込む。


「トゲキッス、しんそく!」

シロナがそのリンゴを真上に放り投げた刹那、リックたちの頭上を、目視できないほどの光弾が飛翔する。
軽く弧を描きながら、空中のリンゴが動きを止める一瞬を狙い澄まして、一閃。

真っ二つに裂けたリンゴがシロナの両手に落ちて、
シロナはその片方をトゲキッスに、もう片方を自分の口に運んだ。
唖然とするリックの舞い上がった髪が降りたときには、
トゲキッスは先程と変わらない穏やかな表情を見せている。

「あの…今のは…」

リックは突然の、しかも一瞬の出来事に戸惑いを隠せない。

「神速か…!!」

ダイケンキが闘志の入り混じった感嘆を漏らす。
シロナはトゲキッスの翼を撫でながら、静かに頷いた。
Re: 三日月姫と共に 〜ダブルバトルレーティング〜 ( No.223 )
日時: 2015/01/18 23:20:15
名前: 寒ブリ◆3JlTo6uS8/k ID:e5wJjvDg

確保
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