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シンオウの大地(修正予定)
日時: 2015/11/27 23:08:26
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

変わり果てたシンオウ地方のお話です

クオリティにはあまり期待しないでください



【Pocket Monsters Dark gray】完結
http://www3.koro-pokemon.com/write/read.cgi?no=480

番外編とか「リョクの旅」とか
http://www3.koro-pokemon.com/write/read.cgi?no=488
メンテ
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Re: シンオウの大地 ( No.1 )
日時: 2015/11/27 23:09:54
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

確保1
Re: シンオウの大地 ( No.2 )
日時: 2015/11/27 23:11:23
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

Chapter1

その日の朝は気が重かった

引っ越してきたばかりの新しい部屋に暖かな朝日が差し込み
かすかにムックルのさえずる声も聞こえてくる

うっすら目を開けると カーテンの隙間から澄んだ青空が見えた

だがいくら爽やかな朝であろうと 青年の気分はすぐれなかった
グランドレイクで平凡な戦闘員として働いていたレナード・ティーガーは
つい先日 主力戦闘員 通称パンサーへと昇格を果たした

「朝か いい天気だな…最初の任務が地下水路で化け物退治か
 気が重い それに身体も重い…って…」

そこでようやくレナードは気付いた
モンスターボールに入れておいたはずのサーナイトが
自分に覆いかぶさるような体勢のまますやすやと寝息をたてている

白い寝顔が目の前にあって 緑色の細い髪が動くたびに首のあたりをくすぐられる状況に
青年は困惑してしばらく固まっていた

声をかけても肩を揺すってもなかなか起きそうにない
「布団に潜り込んでくるのはやめろってやり取りをサナがキルリアの頃には
 よくやってたっけ にしても熟睡してるな 仕方ない…」

ひとまず自分の上から退いてくれないと困る
青年は彼女の胸の中央にある赤いサイコプレートをつかんでみた

次の瞬間 サーナイトは驚きの声を発してレナードの上から飛び起きた

『ま マスター!? いきなり何処を触ってるんですか びっくりさせないでください』

どうやらいくら練度が上がっても プレートに触れられるのは弱いらしい
それは体内を巡る膨大な力をコントロールする器官であり
サイコプレートが弱点であることはサーナイトという種族が
強力なサイコパワーを持っている代償でもある

「びっくりしたのは俺のほうだよ いつの間に布団に潜り込んできたんだ」

『布団に…潜り込んで……? ちっ違いますっ 私はただ
 時間になっても目覚ましが鳴らないみたいだったので 起こしてあげようと…!』

顔の白い肌がみるみるうちに真っ赤になっていくサーナイトをよそに
青年は青ざめた顔で目覚まし時計と 腕時計を見比べた

目覚まし時計の分針は四十分のあたりで弱々しく上下に揺れていた

「マズいことになった 大急ぎで支度しないと遅刻じゃないか」

着替えて荷物の確認をして…朝食は諦めるしかないな 畜生

『って聞いてますかマスター 確かに睡魔に襲われつつ もうちょっとこのまま
 寝そべっていたいなとは思いましたけど いっさい、やましい気持ちは、決して…』

レナードは 赤面したまま暴走しつつあるサーナイトをボールに戻してベルトにセットした

「わかったからさっさと行くぞ 初対面の人を待たせるわけにはいかないんだよ」

支度が終わった青年は 階段を駆け下りた
パンサーとしての最初の仕事は もはやあれこれ不安を抱く暇もなく始まろうとしていた

とちほ
Re: シンオウの大地 ( No.3 )
日時: 2015/11/27 23:12:31
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

クローズプランを開始しよう
Re: シンオウの大地 ( No.4 )
日時: 2015/12/04 14:30:12
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

こちらの機体は、狙撃特化型だ
Re: シンオウの大地 ( No.5 )
日時: 2015/12/04 15:38:36
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

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Re: シンオウの大地 ( No.6 )
日時: 2015/12/07 12:39:53
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

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Re: シンオウの大地 ( No.7 )
日時: 2015/12/07 12:41:27
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

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Re: シンオウの大地 ( No.8 )
日時: 2015/12/11 15:11:46
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

削除
Re: シンオウの大地 ( No.9 )
日時: 2015/12/11 15:12:06
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

chapter6 [401号室]

その日はキマイラの目撃情報の整理で忙しく 仕事が終わったのは九時過ぎだった
外はすっかり暗くなっていてよく晴れた綺麗な星空を 街の灯りが曇らせていた

「家に帰るというか…これだけ近いと寮に戻るって感じだな」
ビルから歩いて五分もしないところにある複数のマンション、
強制ではないが グランドレイクに務めている者の8割以上がここを利用している 

レナードの隣を歩くサーナイトは 彼の方を見上げて 少し楽しそうに言った
『遠すぎるよりはいいじゃないですか
 それにこの周辺なら私がマスターと歩いていても 変な目で見られることはありません♪』

「…昔はそれが当たり前だったのにな 今じゃどこに行ってもポケモンは危険だって連呼する奴らばかりだ」



自分の部屋に戻った青年は 明かりを点けようとした 
しかし壁のスイッチを押しても 部屋は真っ暗なままだった

『…電灯が切れちゃってるみたいですね』

「たしか買っておいたのが あるはずだ…」

押入れの上の棚にあるはずなんだが… この暗い中で 探す羽目になるとは

青年が窓からの光を頼りに 手探りで新しい電灯を探していたとき

不意に背中に重さを感じた

「……サーナイト…?」

『申し訳ありません…こうして帰って来られたのに 今になって…あの時のことを思いだして…』

…無理もない 怪物に不意打ちされて 地下水路で死ぬような目に会ったばかりなのだから

サーナイトの濡れた頬が月明かりに照らされていた

『怖い… 私は… 私のせいでマスターの命が危険になることが 怖いんです
 マスターをお守りしなきゃいけないのに 敵に人質にとられてしまうなんて
 情けない、あってはならない 最大の屈辱です
 だから…もしも今後 私がマスターの足枷になってしまうようなことがあったら…』

『その時は 私を助けないでください』

青年は重いため息をつき サーナイトの震える手を握った
Re: シンオウの大地 ( No.10 )
日時: 2015/12/14 15:05:15
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

chapter7 [401号室]

「それは駄目だ 戦場では常に生き延びることを考えろ
 諦めた奴から死んでいって その死と敗北は連鎖する」

『私は 死ぬつもりも負けるつもりもありません でも…あの時みたいなのはもうイヤなんです だから…』

そんなことを頼まれても困るだけだ
ヴァレットのその台詞で喜ぶのは管理局の奴らくらいのものだろう

「あの時危険な目に遭ったのは 俺じゃなくお前なんだよサナ
 俺はお前にとっての優先順位なんかどうでもいい 目の前でお前が倒れるところなんて見たくない
 だからお前が何と言おうが 助けるさ」

サーナイトは寄りかかっていた身体を起こして 目元を拭った

『…いけませんね私 昔とは変わったつもりだったのに…
 私は マスターと共に戦います マスターと一緒に生きたいです だけど』

『マスターのために死ぬなんて馬鹿なことはしません』

サーナイトは 少しぎこちなく笑った

「電灯を換えたら今日はもう休もう…」

急な任務からようやく解放されて 二人は深い眠りについた


………

…サーナイトと出会ったのは十年前の雨の日だった


いや、あの時はまだキルリアか

学校からの帰り道を歩いていたら うちのほうから気味の悪い雄叫びと
破壊の音、宙を舞う鉄骨と 傘を投げ出して逃げ惑う人々の群れに出くわした

その化け物は屋根の上に跳び上がり 俺は初めてキマイラというものを目撃した
毛むくじゃらの化け物は人間の頭部を喰っていた

キマイラなんて幼稚な都市伝説だと 小ばかにしていた気持ちはその悪夢のような現実に砕かれた

「…母さん…?」

母の死体は 呆然としていた俺の見ている間に 原型がわからないほどに斬り裂かれていった
犠牲者は28名 最後に喰われたのが俺の母親だった

人の血にまみれ 怒り狂ったように暴れ回るキマイラに 俺は見つかってしまった
両者の間にあった距離など ほんの数秒で意味を失い 真っ赤に血走った化け物の目が
俺に殺意を向けたその時だった

『伏せてっ!』

頭の中に直接 声が、メッセージが伝わってきたような感覚がした
次の瞬間、 キマイラは数十メートル先の塀に叩きつけられ

小柄な緑のポケモンが 化け物から俺を守るように
冷たい雨にうたれながら立っていた

Re: シンオウの大地 ( No.11 )
日時: 2015/12/21 14:47:35
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

chapter8 [401号室]

土砂降りになった雨の中で彼女は戦い続けた

だが いくらサイケ光線を浴びせても キマイラの動きは止まらない
毛むくじゃらの化け物は 目の前の小さなポケモンを
何度も何度も 褐色の拳で叩き潰した

…水たまりは真っ赤に染まり とうとう彼女は
立ち上がることができなくなった

化け物は 逃げ遅れた人々が大勢残っているビルを見つけて目をギラつかせている

『ま…だ… 私はまだ戦えます キマイラを 倒さなきゃ…』

俺は 血を流しながら弱々しくサイケ光線を放つキルリアに驚いた
敵わない敵を相手に なぜ戦い続けられるのかが わからなかった

キマイラは鬱陶しそうに鼻息を荒げ 彼女にとどめを刺そうとした その時…
灰色の空に銃声が響き 化け物は倒れた


「オコリザルのキマイラ一匹が 社会の平穏を台無しにする…
 まったく 嫌な世の中だ」

振り向くとそこには 背の高い茶髪の男性、グランドレイク ヨスガ部隊長
エドウィン・ブレムナーの姿があった

「訓練所から飛び出してキマイラに立ち向かうとは 勇敢なキルリアだ…ゆっくりお休み
 震えがっていた無能な教官たちには私から一言 言っておくとしよう」

命を救ってもらった礼も言えないまま キルリアとエドウィンは立ち去り
戦いの傷跡が残った町には 清掃と修復作業のため 大勢の作業員が集まった

妹のリアンは 母の死を ただ茫然とした様子で聞いていた




………もうあれから十年が経つのか


『マスター もう朝ですよ 休みだからっていい加減起きないと』

あの日から全てが変わってしまった

リアンには大反対されたが 学校を辞めてグランドレイクに入った

父は病気で亡くなった 母はキマイラに殺された だから俺が稼ぐしかなかった
形だけの面接で簡単に入社できて 給料も気味が悪いほどに良かった

この時の選択が正しかったのかどうかはよくわからないが 一つ言えることは


『…起きてますよねマスター 朝ごはん作ってあげませんよ』


「昨日買ったシュカバターがある 今朝はトーストにしよう」

サーナイトは当時よりも 楽しそうに笑うようになった
Re: シンオウの大地 ( No.12 )
日時: 2015/12/21 14:47:52
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

chapter9 [スタルカ]

シンオウ地方に月が昇り 北東の小さな島国にも静かな夜が訪れる
居住区には質素な集合住宅が整然と並び 町全体がどこかストイックで無機質な気品に満ちていた

そして街の中央、スタルカの姫が暮らすこの城も
荘厳な雰囲気でありながら 華やかさが一切感じられない 独特な美しさを持っていた

「カゴの実を煮込んだビーフシチュー…姫様は気に入ってくれるでしょうか」

白い着物姿の少女は不安げに呟いた
彼女の名はユキ スタルカでも数少ないユキメノコのキマイラであり
物心ついた頃からずっと姫のもとに仕えてきた従者である


「姫様 お茶をお持ちしま …っ?」

ユキの目の前には とても美味しそうに夕食を食べながら
足をぱたぱたさせている 少女の姿があった

「ここまで美味い料理を作れるとは 良い従者を持った私は幸せ者だな」
姫は無邪気に笑っている

その様子を見た少女の目から 一筋の涙がこぼれた
ただ 嬉しかったから

スタルカの姫は美しかった
一挙一動が他者を感涙させ 国を揺るがすほどに

「私も…姫様の従者でいられることがとても幸せです」



食事を終えたスタルカの姫は立ち上がり
ユキの透き通るような水色の目を 静かに見つめた

「…姫様…?」

「ここまで来るのに半世紀かかった ようやく戦の準備が整ったよ」

小さな従者は 改めて姫の瞳を綺麗だと思った 
底知れない野心を秘めて微笑む 淡い桜色の瞳は とても美しかった

「何も知らない彼らが 不安そうに遠くから眺めている間に
 スタルカは一直線に発展を遂げた 
 私はこれから彼らを殺すよ
 半世紀前の所業を忘れ 我が物顔でシンオウの大地に住み着く彼らを
 ユキ…お前にはこの国のために人を殺める覚悟はあるか?」

やはり姫様は姫様だ、私が仕えるお方は この人しかいない

私は笑顔で一礼し 白い袖を振った

冷気が小さな部屋を包み込み 無数の氷の刃が宙を舞い始めた

「姫様は私の生きる理由のすべてです 姫様が望むなら
 力の限りを尽くして敵の命を奪いましょう
 姫様が側にいてくださるなら私は
 殺すこと 殺されることに 迷いもためらいも後悔もありません」

「本当に…最高の従者だよ お前は」

スタルカの姫は穏やかに笑った
Re: シンオウの大地 ( No.13 )
日時: 2015/12/25 13:34:35
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

※おまけ※

やはり姫様は姫様だ、私が仕えるお方は この人しかいない

ユキは笑顔で一礼し 白い袖を振った

冷気が小さな部屋を包み込み 無数の氷の刃が宙を舞い始めた

「姫様は私の生きる理由のすべてです 姫様が望むなら
 力の限りを尽くして敵の命を奪いましょう
 姫様が側にいてくださるなら私は…」

「ふぇっくしゅん!」

「姫様っ!? すみません寒かったですよね このハンカチをお使いください
 隣の部屋は暖炉で温かくしてありますので早くこちらへ」

ユキは姫の手を引っ張って氷漬けになった部屋を後にした



「もう…この演出考えたの誰ですか また撮り直しさせるなんて 姫様への配慮が足りてませんね」

「ん、私が採用した演出だよ これならユキの能力と行動原理を手っ取り早く説明できるだろう」

「姫様が私のことを思って…わかりました このユキ 全力でやらせていただきます///」

〜このあと城の半分が凍結した〜
Re: シンオウの大地 ( No.14 )
日時: 2015/12/28 15:57:21
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

chapter10 [007号室]

ナナ・ティアーシャといえばヨスガ支部以外の者にまで
名が知れ渡っている女性戦闘員だ

優れた視力と射撃のセンスを駆使して 遠距離から敵を撃ち抜くスナイパー

通常フォースは 本人から距離が離れるほど威力が落ちてしまうが
彼女はスナイパーライフルの弾丸に使えるほどに有効範囲が広いフォースを
使用できた

仕事の徹底振りと その容姿も相まって男女問わず 彼女に憧れる者は多い
…が そんな超人扱いされているナナにも弱いものがあった

「んぅ……」

散らかった部屋に 朝陽がカーテンの隙間から差し込んでいる
彼女は寝ぼけ眼で けたたましく鳴り響く目覚まし時計に手を伸ばした

今日は休みか…よかった…休みだ よし、片づけは起きてからやろう…


軽く伸びをしたあとで ナナは再び布団にもぐって体を丸めた

『いや寝るなよ 起きろよ』

そしていつものようにルカリオに布団を引きはがされた

「…休みの日くらいいいじゃないか 特に用事もないんだし」

パジャマ姿のまま不服そうな顔をしている彼女に 小さなルカリオは呆れた顔で言った

『毎朝自分で起きない奴の言う台詞じゃねーぞ それから用事が無いって
 この散らかった部屋をそのままにしておくつもりだったのかよ』

…脱ぎ捨てたままの服と靴下 散乱したプリント類に 出し忘れたゴミ袋…

パジャマのボタンを外しながら 少女は眠たそうに呟いた
「ルカリオ…昨日の夕飯 温めといてくれ」

『お前はヴァレットを何だと思って っ…ていうかさっさと着替えてくれ』

子どものルカリオは顔を真っ赤にして目を背けた

「戦いの道具だ お前も 私も… キマイラから人を守るため
 裏で動いている奴らから グランドレイクを守るため」

命令に従い 任務をこなしてきたら いつしかヨスガの猟犬と呼ばれるようになっていた
誰が言い始めたかは知らないが 皮肉の効いた二つ名だ

残しておいたスープを火にかけながら ナナは
絶対にヴァレットを道具とは言わない青年のことを考えていた

ベトベトンのキマイラを一刀両断したことばかりが評価されているが
あの状況からサーナイトを救えたことのほうを賞賛すべきだろう

「…そうだな 私ではお前を守ってやれない ルカリオの安全よりも作戦遂行を優先してしまうから」

もう戦い方も 生き方も変えることができなくなっている
そんな彼女を見て ルカリオは明るく言った

『自分の命くらい自分で守るさ オレの仕事はナナと共に敵を倒すことだ
 武器を拾うために敵の懐に飛び込むような真似はしなくていい』

その目に迷いはなかった
彼はナナのポケモンである以前に自分はグランドレイクのヴァレットであると知っていた

「そうか…では敵に捕まったのが私のほうで 私が助けるなと命じたら お前はどうする?」

ほんの少しの間 首をかしげてからルカリオは答えた

『ヴァレットは自己判断で動いていいような役職じゃないからな
 そう言われた以上 ナナの命令に従うさ オレはお前の道具でいい
 そういう仕事だお互いに』

「そうだな それでいい…」

戦闘員とヴァレットが信頼し合った上で 任務を遂行するために共闘する
私たちはそうやって戦って 生き延びてきた

モンスターボールに戻る直前に ルカリオは言った
『まあでも 仕事とか関係なしにオレはナナのことを結構気に入ってるけどな
 寝ぼすけなのと 仕事以外がだらしないのは どうにかしてほしいけど』

散らかった部屋には 不意を突かれて赤面した少女が取り残された
Re: シンオウの大地 ( No.15 )
日時: 2015/12/28 16:01:24
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

chapter11 [ズイタウン]

その日の夜 遺跡に寄り添うようにして存在する小さな村で
悲劇が起きた 人も牛も馬も死に 辺り一面は血の色に染まっていった

「化け物…化け物め…だからオレは反対したんだ
 なにが討伐隊だ あっさり全滅しやがって 手を出してはいけなかったんだ…」

青ざめた顔で大慌てで逃げ出した男は 背後から触手のようなもので貫かれ絶命した

倒壊し燃えていく家々の炎に照らされて 異様な姿の女性は静かに微笑んでいた

「青く長い髪に…黒い肌…この化け物はモンジャラか」

「まあ…一目で当てるとはよい観察眼をお持ちなのですね
 ですが静かに暮らしていただけの わたくしたちを化け物だと言って
 殺しにくるというのはあんまりではないでしょうか」

長い髪が目にも止まらぬ速さで動き また一人の命が奪われる
漆黒の肌の少女はいかにも困ったような仕草をして続けた

「弟が討伐隊とやらに目をつけられたからこうなってしまった
 そのことについては申し訳なく思っているのですけれど
 こうなってしまった以上 わたくしたちはあなた方を殺すしかないのです」

「まあすぐに終わりますから どうか目をつむっていてくださいな」
落ち着いた口調のあとに また一人 三人 五人と死んでゆく

その直後 発砲音が鳴り響き 彼女は背後から数十発の弾丸を浴びせられて倒れた

だが 引き裂かれた黒い身体はすぐに再生をはじめ
キマイラの少女は涼しい顔で起き上がり 後ろを振り返った

「…鉛玉でも 存外痛いものですね やはりここは鉄砲を所持している方から
 片づけるとしましょうか…」

都会から離れた小さな村で 逃げ遅れた人々の断末魔が絶えず響いていた

……


[007号室]

ナナが温かい湯船につかって五分と経たないときに 電話が鳴った

こんな時間にグランドレイクの回線からかかってくるとは 嫌な予感しかしないな

「緊急時以外に入浴の時間に電話するのはよして…ってエドウィン隊長…」

「すまんな だが今がその緊急時だ ズイタウンに戦闘能力の極めて高いキマイラが現れた
 君に討伐を依頼したい 引き受けてくれるならこのまま作戦内容の説明に移るが」

別の任務で遠くへ行っている者と負傷した戦闘員の数を思い返しただけで
事態の深刻さは容易に想像がついた

「了解した 湯冷めしない程度に手短に頼むよ」
せっかく部屋が片付いてあとは寝るだけだと思っていたのに…

彼女はボールからルカリオを出して 出撃の準備をするよう指示したのだが

『…ったく いつまでその格好でいる気だよ』
荷物より先に手渡されたのは衣服のほうだった
Re: シンオウの大地 ( No.16 )
日時: 2016/01/18 22:17:01
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:2D5uieUM

第一回スタルカラジオ

淡い水色の髪の少女が緊張した様子で台本を確認し
始まりの挨拶をしようとしたその時 
隣の白い髪の姫は晴れやかな笑顔で 本編のおまけを開始した

「おはよう同志諸君 まずはここまで読んでくれたことに感謝する
 さあ 共にシンオウ本土を蹂躙し尽くそうではないか」

「…姫様 さっそく趣旨がずれてます そんな物騒なコーナーじゃないですよこれ
 皆さまからいただいた質問や感想に回答するんです まずはこちらの質問から」

・スタルカの建国の経緯について教えてください
・スタルカの姫は世襲制なのでしょうか それとも革命かなにかで独裁政権を握ったのでしょうか

「いきなりネタバレになりそうな質問が来ちゃいましたね
 スタルカの建国は五十年前なので 私も詳しいことはわかりませんが」

一応何があったのかは教えてもらったけれど その時のことを姫様はあまり話したがらない

「スタルカは半世紀前に私がつくった国 その頃のこの土地は…文字通りの地獄だったよ
 世襲制もなにも始まりから今に至るまで私が統治し続けている」

「姫様こんな幼い容姿で五十超えてますからね 信じられませんね
 ほらほっぺたこんなに柔らかいんですよ」ムニムニ

髪は真っ白 肌は色白 瞳は野望に満ちた桜色
一目で言葉を失ってしまうこの美しさをお見せできないのが残念です

「キマイラの中でも私は少々特殊な成り立ちだからね 人間の常識を当てはめない方がいい」

「さてお次の質問は…シンオウの大地の時代設定について教えてください だそうですよ」モチモチ

「ユキ そろそろ手をどけてくれないかな あごの下はくすぐったい」

「嫌です」キッパリ

「……。」

「…冗談です」(´・ω・`)

「シンオウの大地の世界は 通信技術の遅れを考えると
 19世紀後半から20世紀前半のイメージかな
 インターネットも携帯電話もないし 電車より機関車のほうが多い」

「多いというか スタルカに電車走ってないじゃないですか」

スタルカの交通は徹底して無駄を省いた設計がなされている
人々の主な移動手段は機関車とバス、自動車を所有しているのは極一部の者達だけだ

「技術がいわゆる現代にまったく追いついていないことを
 意外に思うかもしれないが シンオウは技術が飛躍的に進むきっかけもなく
 人々は長い間ポケモンリーグの漫然とした支配のもとで暮らしてきたのだから
 当然とも言える ただポケモンと暮らしてきただけあってポケモンに関する科学技術は
 それなりに進んでいるよ」

「周りにあるのは無人島ばかりで敵国の存在すらありませんでしたからね
 そうそう、コトブキが技術を独占していることも大きな要因だそうです」

「呆れた話だ せいぜいそうやって内輪で足を引っ張り合っているといい
 ユキ、最後の質問は?」

「えーと…」

・社会主義ってなんですか


「これは自分で調べることを知らない無知な子どもからの質問なのか
 あるいは社会主義について考えた後の 虚無感を含ませた問いかけなのだろうか」

いやいや絶対前者だと思うんですけど どちらにせよ尺が足りませんね

「スタルカの経済については長くなるのでまた今度話しますね
 ってあれ まだハガキが残ってた どれどれ」

・ユキメノコのユキちゃんに粛清されるなら寧ろ本(ry …この先は破かれてしまって読めない

「それでは今回はこの辺でお別れです シンオウの大地についての質問や感想は
 直接コメントを送るか スタルカの郵便ポストに投函してくださいね」
Re: シンオウの大地 ( No.17 )
日時: 2016/01/22 21:41:19
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:fXC6JFa6

chapter12 [209番道路]

ジークとは グランドレイクの戦闘員たちを
森や沼地 岩山に雪原へと迅速に送り届けるために開発された
四輪駆動の自動車である

特殊なサスペンションが悪路をものともしない走行を可能としているが
乗り心地は快適とは言い難いつくりになっている

淹れたばかりのコーヒーを飲みあげる暇もなく呼び出された黒髪の青年は
遠ざかっていくヨスガシティの灯りを憂鬱な気分で眺めていた

「…なんでこんな真夜中に ズイタウンに向かってるんだろうな 俺らは」

レナードの愚痴に続けて 隣で運転しているアルバートは言った

「まったくだ オレはさっきまで寝ていたはずなんだがな
 随分と素敵なゆりかごを用意してくれたものだ 何のための交代制だ
 夜勤の奴らに向かわせればいいものを」

とはいえ夜勤の戦闘員は 街の警備が主な仕事で 戦闘経験の浅いものが多い
後ろの座席で揺られながら髪を拭いているナナは いつもより険しい表情だった

「敵は人語を話すようだ それも流暢に 見た目こそ触手の生えた異形だが
 体型は人間の少女そっくりらしい 要するに普段の敵とはレベルが違う」

いかにも隊長らしい指示だ とレナードは思った
前線で戦う者の数は最小限に抑え 救護班と共に向かわせる…
ジークの後方には 数十台もの救護車の列が続いている

「犠牲を出さないようにか…信頼されたもんだな
 それで、トバリの奴らは何をしてるんだ
 まさかこの状況で 俺らに任せて傍観するつもりじゃないだろうな」

外を眺めていたナナはため息をついた
「…シェリー・ウォルコットの性格を知っているか
 報酬のために戦う キマイラを金儲けの道具にしてる守銭奴だぞ
 金にならない戦いはしない…形だけ戦闘員数人を送って終わりだろうよ」

「どうしたレナード 戦闘員三人のみで戦いに挑むのが怖くなったか」

「ああ、怖いな 化け物がいるところに飛び込んでいくのは
 だが今頃 人がその化け物に殺されてるんだ…
 化け物を殺せる人間が行くしかないだろう」

…と、出る前にサナに言ったのとほとんど同じ台詞を言ってしまった

「私にも恐怖は常にある それでもキマイラを倒すのが今の私の務めだ
 取るべき行動は何も変わらない アルはこの任務が怖くはないのか」

「怖くないわけがないだろう だがここで死ぬつもりはない
 敵を殺して生き延びて その繰り返しだ…さて、見えてきたぞズイタウンが」

「これは……遅かったのか」

車から降りた三人の前には 炎に包まれて燃えていく村があった
Re: シンオウの大地 ( No.18 )
日時: 2016/01/22 21:41:49
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:fXC6JFa6

chapter13 [トバリシティ]

グランドレイクという企業がポケモンリーグに代わる新たな政府として
急速に発展できたのは 各都市に存在していた有力者…財閥や巨大な研究機関が
「キマイラから人々を守る」という大義のもとに傘下に収まったためである

今やシンオウを牛耳る大企業でありながら 一枚岩ではない、
どころか最低限の統率しかとれないほどに 各支部は独自の権力を有していた

グランドレイク トバリ支部は報酬の為なら何をするかわからない金の亡者の集まりだった
金の為なら何でもする連中の集まりという表現のほうが適切かもしれないが

レナードらがズイタウンに向かっている頃
真紅の髪の女性 シェリー・ウォルコットは普段と変わらず酒を飲んでいた

「隊長、本部から電話です」

「はいよー 夜中に仕事の電話とか 本部は働き者だねー」

紅色の三つ編みのおさげを揺らしながら シェリーは電話のほうまで歩いて行った

受話器から聞こえてきたのは 生真面目そうな淡々とした口調の若い女性の声だった
「夜分遅くに失礼します グランドレイク本部 副隊長 メアリー・グレイナーです
 今回…」

「おお メアちゃん久しぶりー いいお酒があるんだけどさ 今度飲みに来ない?」

「メアちゃんって…また随分飲んでるみたいですね…現在ズイタウンにキマイラが出現し
 住民たちが襲われ 多数の死者が出ているのをご存知ですか」

電話の向こうの深刻な空気など気にする様子もなく
シェリーはお猪口の酒を飲みほした

「聞いてるよー なかなか強いみたいねそいつ」

「トバリ部隊が送ったのはたいして実力もない末端の戦闘員ばかり…
 まともな対応を要請しても 報酬に文句を言いだす始末
 貴女方はあの村で死人が出ているというのに何をしているんですか」

「何をって 呑気にお酒を飲んでるよー キマイラがどれだけ人を殺そうと
 お姉さんたちは別に何とも思わないからね まあなんていうかさ、
 アタシらを動かすにはあの額じゃちょっと足りないかな せめて…」

商談に持ち込もうとした台詞は 途中でメアリーに遮られた

「モンジャラの化け物が暴れるこの夜に 平気な顔で酒を飲む…
 面倒な人たちですね お金のことしか頭にないんですから」

「あはは もっとお金もらえるなら話は別だったのにね
 キマイラが暴れて 人が死に みんなが泣きながらアタシらにすがりつく
 そんな地獄で笑って酒を飲み交わすのが グランドレイク トバリ部隊だよー」

実力のある者だけが金と地位を手にし能力のなかった者はグランドレイクの保護のもと搾取される
それが 金儲けとギャンブルと戦いが大好きなトバリシティの人々がつくり上げた社会だった

「キマイラは金儲けの道具ですか…こちらとしてもあれ以上の金額は用意できません
 ヨスガ部隊のほうからも 戦闘員が向かっていますが たった三人では…」

「んー…エドウィンの判断で送った三人なら勝てると思うよ
 一人の戦闘員も死なずにね あいつはそういうやり方だから
 こっちから戦力を補充する必要も無さそうね」

「待ちなさい それ以前に弱者を食い物にする貴女方のやり方は
 おじい…社長の考えるグランドレイクの理念に反するものであり だいたい――

「それじゃメアちゃん おじいちゃんによろしくねー」
にこやかな笑顔と共に 会話は終わった

「さあて 飲みなおすか」

背中を反らして伸びをしたあと 彼女は宴会の席に戻っていった
Re: シンオウの大地 ( No.19 )
日時: 2016/01/28 19:54:43
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:kkBS1weg

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Re: シンオウの大地 ( No.20 )
日時: 2016/01/30 18:29:54
名前: 緑茶◆kEj/68/y4Ak ID:fXC6JFa6

かくほ2

シンオウの大地

何か違うと思いながら書いていても今考えている結末に辿り着けそうにないので

時間はかかりますが まだ序盤の今のうちに ちょっと書き直します

話の構成と描写の仕方、それと主人公のキャラクターを手直しする予定。
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